【感想】KLO2018/19を解いてみた

おひさしぶりです。えーごめんなさい。いろいろ立て込んでいた…わけではないのですがなんかそれなりに忙しかったらしいです。受験産業への敗北。

今回は問題解説ではなくゆるーくKLO(韓国言語学オリンピック)2018/19を解いた所感をつらつら並べようという企画です。

言い訳をすると、一回書いてみればわかるけど問題解説の記事書くのってマジでめんどくさいんですよ(まだ一回しか書いてないけど)。単純に記述量が多いのはそれはそうなんですが、普段自分が紙とか頭でやっていることを言語化するのって難しいんだなぁと。

まぁいいや、それはそれとして、いよいよJOLまで1ヶ月もない!ということで人々が演習をたくさんしているご時世なわけですよ。で、そのご時世の中(?)zohe氏がKLOを日本語に訳してくれた!(もちろん元は朝鮮語、韓国予選だしそれはそう。)やった!! でそれを解いてみた、という話です。解いた人はわかりみを生やしてくれる部分もあるかな(?)。それでは。

[注意]盛大にネタバレしています。解くつもりでまだ解いてない人は見ないようにしましょう。

使った問題

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感謝感激。訂正があるようなのでそちらも確認を。

はい(これを指摘したのは私で、#2で悶絶していた…)。それでは早速見ていきましょう。問題番号のあとの題はぼくが適当につけたテーマです。そのあとの数字はぼくの点数/満点。大問内での配点は見つからなかったので適当です。

 

朝鮮語ができる人は原本もどうぞ。

http://krlo.kr/wp-content/uploads/2018/11/klo-201819.pdf

 

 

問題#1 ハングルと音声 8/8

これは朝鮮語母語話者ではない我々にとってはおそらく彼らより圧倒的に時間がかかるはずーということで解かなくても良かったのだが最近duolingでKoreanを初めたのでまぁ試しにやってみるかということでやってみた。解説を見る限りつぎの問題との繋がりが感じられる…らしいがそんなことは気にせず普通に解く。ちゃんと競技言語学で解けました。危なげなく正答。JOLでこういうのが出ても面白いのかなぁとか思いつつ。

 

問題#2 フィンランド語と音声 8/8

[どうしても4の答えが出なかった人へ]たぶん訂正が反映されていません。上記のツイートを参照のこと。

続いて2番もフィンランド語といいつつ音声の問題。どうやらhの発音の扱い方の問題っぽい。適当に前後の文字でソートして解く。解けた(訂正反映前はこれでアホみたいに迷った)。前後の音で挟まれた子音の発音が変わるのはあるあるな話。ちなみにxは後舌母音のあと、çは前舌母音のあと。母音調和が陰に隠れていますよ〜というパターンですね。これもあるある(cf.JOL2018-4(まぁこれはこれで鬼…))。なんなく正答。いい感じですねぇ。

 

問題#3 「入れる」動作 in英、韓 8/8

おー、来ました。見たこともない問題。こういうの母語話者に問うているの面白いよね。けっこう好きです。

英語と韓国語で「入れる」の動作が2種類あってそれの適用例が違いますよ、という。なんとなーく眺めるとなんとなーくわかってしまった。英語は主体が客体の空間内に入るかどうかを重視しているのに対し韓国語は主体と客体の接触度合いですね、という。日本語力がないのでこういう問題があると日本語で減点されそう。12で主体が指か指サックか間違えかけた。思いつけばすんなりかな。

 

問題#4 サンスクリットと数字 8/10

面白かった。けど最後は無理あるだろ〜となった一問。

とりあえずお眺めをする。6ケタでも2音節なんだよね。ということは子音母音をふんだんに活用しているでしょう、と。そんなつもりで眺めていると母音と位取りの関係に気づきます。3ケタと5ケタは慎重に。母音は直接数を表すのは関係なさそうなのでひたすら子音と数の対応を作ります。なんとなーくIPAの表を思い起こしながら作るとちゃんと調音位置が後ろから前に行っているのがわかります。有気音、そり舌音などは間違えないように。余談だけど「ニャンコ」はIOLの注釈にもあった気がする。翻訳者の遊び心を感じるなど。で、適当に解いていくと基本的には解けるんですけど、mの扱いに困るわけですよ。普通に行くと0(mod5)が鼻音なのでそのまま行くにしろ軟口蓋、硬口蓋、そり舌、歯茎と来ているわけですからつぎは唇歯音だろ!!!ということでぼくはmを30として扱ったんですが25らしいです。どこへ行った唇歯音よ。25として取る合理的な説明、絶賛募集中です。いや〜子音の並び的に絶対違うやろ〜…

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↑子音。親の顔より見たやつです。親の方が見ている人は印刷して自分のロッカーに貼りましょう(過激派)。見れば見るほどmは30に思えてきますが、ここで重要なのは「音声学の知識の活用」という点です。これまでもJOLでは母音調和が出たり母音調和が出たりしました(しつこい)がここまでガリガリIPAを覚えていると有利な問題はなかったような。そういう意味でKLOは比較的linguisticなknowledgeを要求しているの…かも。でも代表的な子音、母音は競技言語学erとしても知っておいた方が間違えなく得だと思います。使うかは別として。

[補足(2019/3/8)]mが25になる理由

はい。つまりサンクスリットの子音配置の問題。デーヴァナーガリーをかじったときについでにサンスクリットをちょこちょこっと覗いておけばよかった…。まぁ早い話が古典サンスクリットに唇歯音はないよ、という。

[以上補足]

 

問題#5 湿原クリー語 10/10

久しぶりの再会でした。

何にかというとカナダ先住民文字に。昔UKLOだか何だかで解いた気がしたのでからくりはわかっていた。のでヌメヌメと解いて正答。まぁたぶん知らなくても普通に解けておーこんな文字もあるんやーとなります。10の文字数が一個足りない気がしたけどそんなことは #誰も気にしない 。

UKLOだか何だか→https://www.uklo.org/wp-content/uploads/2017/04/2.-Inuktitut.pdf

 

問題#6 中期朝鮮語 0/10

飛ばしました。

 

問題#7 モンゴル語 10/10

音韻系多いねぇ

複数形になると後半が微妙に変わるというやつ。丁寧に見ていけば間違えることはない…はず。音韻系多くない?KLOは音が好きなんでしょうか。まぁぼくは音韻系が苦手なんですけど。モンゴル語といえばJOL2017のモンゴル語、わりと難しい気がする(あんな問題もまた面白いよね)。

 

問題#8 有限状態機械 9/10

パズルか?

なんなら言語オリのげの字も知らない人とやっても差がつかなそうなやつ。要はパズルですね。NACLOがこういうの好きなイメージがある。解法は…どうやっても解けそう。bで一個漏れを出したのでパズル引退間近ですね。目大丈夫か〜?w

 

問題#9 上海語 12/12

これも面白い。形態素解析と視覚の利用、斬新。

ただ単に「出る」「入る」だけじゃなくて起点注目か終点注目か、あとは動いてない色が存在している理由などを考えると解ける。(c)13で最後にleqをつけるかどうか迷ったぐらい? いい問題。

 

問題#10 クワザ語 10.5/12

ザ・形態素解析パズルコンテスト

最後にしてやっときました、シリーズ・形態素解析。今回は普通に解析(?)をしていけばいろいろわかってきます。時制がそこまで重要じゃないこととkiの位置、あとは三人称単数の主格は無表記であることでしょうか。ちなみに三人称単数主格の無表記はアイヌ語とかでもそうです。ぼくはそれだけわかっていながら16で普通に君たちを主格にしました。意味わからん。こういうケアレスミスで点数が削がれていくのは本当に嫌なので直します(鋼の意思)。去年の予選でも普通にミスで6,7点吹き飛ばしてそうで悲しいです。

以上10題(解いたのは9題)

 

[総評とか]

うだうだ言っていたのを一言でまとめるとすれば、KLOの特徴としては

・あるあるな形態素解析は少ない

言語学(特に音声)の知識があると役立つものが複数

母語朝鮮語)に関わる問題が3つ

でしょうか。難易度的には易〜標準ぐらいかな。時間も短いけど難易度を考えるとこれぐらいでも良いのかもしれない。というかむしろ時間ゲー説あるな。

これを見るとJOLとは少し毛色が違うかなーとは思いますが、面白い問題もたくさんあって楽しめました。やっぱりJOLはUKLOかOzCLOが近いような気がします。最後にぼくの点数をまとめて、それではまた。

1 8/8

2 8/8

3 8/8

4 8/10

5 10/10

6 -

7 10/10

8 9/10

9 12/12

10 10.5/12

Σ 83.5/88 

(上位者のスコアは未公表なのでどれくらいかは全くわからん。)(というか6は10点満点だから満点は98なんかい)